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 「環境マネジメント通信」(第21号) 
(2008/03/10発行) 
株式会社 知識経営研究所
代表 鈴木明彦

第21回 自己宣言を考えることは、自治体らしい取組の始まりの契機

平成20年1月に発表した「地方自治体の環境マネジメントに係わる調査研究」によると、環境マネジメントシステム(以下「EMS」という)を導入している団体のうち、ISO14001をガイドラインとしている団体は24.5%もあった。環境省環境計画課が発表した「地方公共団体の環境保全対策調査(平成17年4月1日)」によると、環境基本計画を策定している団体は23.3%であったことを考慮しても、自主的取組のISO14001にかくも多くの自治体が取組んでいるのは、なんということだろうか。

そのISO14001に取組んでいる自治体が、大挙して自己宣言(自己適合宣言」ともいう)に移行しようとしている。「自己宣言」とは、ISO14001に基づく環境マネジメントシステムを構築した組織が、第三者の審査機関の審査に頼らず、独自の手法でEMSが確立していることを宣言することをいう。地方自治体では、平成15年1月に長野県飯田市が自己宣言したのが始まりだ。

しかし、地方自治体の場合、自己適合宣言が自己“都合”宣言と誤認されることを避ける意味から、何らかの客観的な評価手法を採用する方式が多い。飯田市の場合は、内部監査に地域住民等の第三者が参加し、客観的な評価を行っているが、その後、熊本県水俣市や長野県上田市などのように地域住民等が審査登録機関に代替する形で第三者監査を行い、自己宣言するところも出てきている。


◆自己宣言への移行は、暫定措置をとおして・・・
自己宣言が増えつつも、「自己宣言について真剣に検討したが、当面は審査を継続することにした」、などという話を聞くことも多い。どうしたんですか、と尋ねると、「ウチもISOアレルギーが強くて。財政からも予算削減要求が厳しい。それで審査を止めて自己宣言でもしようかと思ったら、あれも住民監査を受けるみたいで、ウチのようなところでは、住民監査などの市民参加を始めたら、何を言われるかわからないし・・・。」という返答で、変革と混乱の間でジレンマに陥っているようだ。

この状態から脱する第一の方法は、市長などの自治体幹部からのトップダウン・メッセージだ。しかし、トップに自己宣言を判断させるには、相応の準備が必要となり、材料集めに苦労するようだ。特に、万が一、自己宣言に移行して失敗したら、目も当てられない。


   自己宣言移行の際の暫定措置に活用できる諸策(例示)
種類
概要
内部監査の代行 自治体の審査経験を持つ専門家が、当該自治体の内部監査員として任命され、当該自治体の内部監査を代行する方法。この場合、職員内部監査員の育成も不要となる。
専門家を内部監査責任者とすれば、市民・事業者参加型の内部監査を実施することもできる。
第三者監査の併用 自治体の審査経験を持つ専門家が、審査同様の第三者監査を実施する方法。審査と異なり、第三者監査後に改善提案を受けることができるため、その後のEMS改善にも役立つ。
EMSアドバイザー制度の創設 1年間の環境活動成果や今後のEMSの展開等について、専門家や市民・事業者代表等から意見を聴取し、これらも踏まえ、マネジメントレビューを行い、その後の改善に活かす方法。


もうひとつの方法は、いきなり住民監査等を併用した自己宣言をするのではなく、何らかの形で住民等の第三者の視点を取り込み、市民参加に慣れながら、自己宣言とすることだ。この方式であれば、審査機関の認証を維持しながら実施することもでき、かつ、いつでも基の状態に戻すこともできる。この方式は、既に知識研でも実証済みであり、その有効性は検証されていると言っていいだろう。

先の調査によると、既にISO14001を導入していながら自己宣言した団体が16.5%これまでのところ、ISO14001の自己宣言を予定している団体は、既に移行した団体を含め、32.4%にもなる。また、「現在、自己宣言への移行を具体的に検討中」と回答している団体が15.9%あることを考慮すれば、平成20年度は、自己宣言等への移行する団体はもっと増えるだろう。その際には、このような試行期間を設けてはどうだろうか。

◆自治体らしいEMSとは
何で自己宣言するのですか、と問いかけると、「ISO14001で窮屈な思いをするより、もっと自由度のある中で、よりウチらしい取組を進めたい。」というに話しに落ち着くことが多い。先の調査では、審査等の費用負担が第一に挙げられているが、どうやらこれは、様々な要因のひとつのようだ。

それでは、自治体らしい取組とは何だろうか。

それは、実効性の上がる取組なんだろうと思う。そのためにどうすれば良いのか、と言えば、EMSを導入することよりも、『庁内の組織文化を環境色に染めること』ではないかと思う。全ての施策の立案や事務事業の執行において、環境に配慮することを日常化すること、であり、これらに基づき、庁内の省エネ・省資源などが実現し、地域の環境保全や創造が進むこと、ではないか。

そこで必要となる仕組みは、次に挙げる要素を持つ仕組みであり、それがISO14001でも、その他の仕組みであっても、使い易ければ何でも良いだろう。

◆環境基本計画等を上位計画に位置付ける、などの地域の環境保全と創造に資する枠組みを持つこと(初期段階は庁内率先行動でも良いが、将来的な発展性を確保すること)。

◆各所属では、自らの仕事と環境との関わりが自覚でき、何らかの環境配慮活動を特定し、主体的・積極的に取組める自己管理の仕組みがあること。

◆環境負荷の軽減や地域の環境創造に資する取組を内包していること。

◆事務局による点検評価制度を含め、内部監査や住民監査などの客観的な評価の仕組みを併用すること。

◆取組計画や成果を地域住民等に公開し、その意見を反映する仕組みを持つこと。

◆構築した仕組みは、必要に応じて改善・改革できる柔軟性を持つこと。


地方自治体で、自己宣言が拡がっているのは、ISO14001だけではない。既にエコアクション21でも、自己宣言が始まっており(http://www.ecovadis.jp参照)、ISO14001を含め、今後もどんどん自己宣言が広まっていき、独自のEMSの仕組みも増えていくだろう。

大切なことは、仕組みに関する創意工夫ではなく、環境負荷軽減や環境創造のための創意工夫である。
 





 

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